2021年モデルからHPもSpectreやEnvyで右端が無いレイアウトのPCを出すようになりました。ただ軽量人気モデルのPavillion Aeroは引き続きHPリテール配列だったりします。
また、最近のノートPCのタッチパッドは全体的にかなり賢いので、2023年現在ではタッチパッドの誤接触はあまり気にしないでいいと思います。ホームポジションがずれるのは引き続き嫌だけど。
・モバイル性と処理能力のトレードオフ
・USBやHDMI出力等のインターフェース
・バッテリー駆動時間
そして、キーボード配列。
ノートパソコンのキーボード配列は、各社癖があります。
・Thinkpadは打鍵感は定評があるもののFnとCtrlが通常の逆(BIOSで変更可能)。
・Dellは電源ボタンがキーボードの右上にあるものが多くミスで押すのが怖い(電源ボタンは重くなっており配慮はされています)。
・LenovoのIdeapadやDellのInspironのような普及価格帯のものでは、日本語キーボードを選択すると「¥」「BackSpace」間、「スペース」「変換」「無変換」間に隙間がないものもある。
(英語配列キーボードと部品を共用するための設計)
ただ、掲示板やYouTubeのレビューを見ていて最も異論が目立つのはHPだと感じます。
Pavillion、Envy、Spectreといった同社のリテールモデルの13インチの機種(=テンキーが無いもの)では、キーボードの右端にHome、PageUP、PageDown、Endが配置されているというかなりの変態配列が採用されています。ここから先では、この配列をHPリテール配列と呼びます。
以下の写真は、自分がかつて使っていた2018年モデルのEnvy x360 13インチのものです。
BackSpace-Enter列が右端になっていない典型的なHPリテール配列です。

HPの他にもASUSやMSIの一部機種もHPリテール配列と似た配列を採用しています。
なお、HPでもEliteBookやDragonflyのようなビジネス向けモデルはこの配列ではありません。そのかわりリテールモデルと比べるとスペック比で割高です。
HPリテール配列の問題点
自分が感じたこの配列の問題点は2つです。
・EnterやBackSpaceを押す時に、HomeやPageUpを誤入力してしまう
・タッチパッドは中央にあるためホームポジションに置くと右手がタッチパッドに当たりやすい
Enterの誤入力
上記のEnvy x360を使い始めてしばらくは、Enterを押下しようとしたときにPageUPを、BackSpaceを押そうとした時にHomeを押してしまうことがありました。
思わずノートPCをへし折りそうになりますが、2 in1 のEnvy x360をへし折ることは容易ではありません(画面がくるりんぱするのみ)。
物騒なことを言いましたが、これは使っているうちに慣れました。
意識の持って行き方としては、Enterの場所をキーボードの右端として捉えるのではなく、ホームポジションからの距離で捉えるようにするとうまくいくような気がします。
エスパーの修行のようではありますが。
タッチパッドへの誤接触
この配列では、右端にHomeの列があることにより、ホームポジション(HとJ)が通常のキーボードよりも左側に寄っています。
この1列分の違いに慣れるのは難しくありませんが、問題なのはタッチパッドの位置です。
ホームポジションが左に寄っているにも関わらず、タッチパッドは中央にあるのです。
この配置でホームポジションに手を乗せると、特にJの上に置いた右手がタッチパッドにあたりやすくなります。
Envyのキーボード写真をもう一度見てください。FとJに縦線を引いてあります
右側のタッチパッドがいかにJの下部に被ってしまっているか分かるでしょう。

優秀なMacのパームリジェクションと違い、Windowsマシンではタッチパッドの作り込みがメーカーによって大きく異なります(タッチパッドの誤反応を全く気にさせないメーカーもあるとは思います)。
自分はこのEnvyではあまり気になりませんでしたが、2019年モデルの13インチSpectreを使った時にかなり気になりました。
タッチパッドの誤反応については、先達が多くの知恵を絞っています。
・Windows上で「マウス接続時はタッチパッドを無効化」するよう設定しマウスを使用する
⇛マウスを持ち歩くのが苦にならなければこれがもっともシンプルな解決です。タッチパッド死すべし。
・タッチパッドの設定の変更
⇛経験上、タッチパッドの感度を最低まで落としてもあまり効果がありませんでしたが、1本指タップでは何も起きないよう設定するとだいぶ改善されました。
(その代償に普段の左クリックの操作にタッチパッドへのタップではなくクリックが必須になります。ただ、ENVY x360ではタッチディスプレイをフル活用すれば案外不自由を感じませんでした。)
・タッチパッドの右側の誤爆しやすい部分を物理的に隠す
⇛フィルムや紙を使用して誤爆しやすい部分を物理的に隠している事例が結構見つかりました。
・打ち方を工夫する
⇛支給された軍服のサイズに体型を合わせるアプローチです。
右手首をタッチパッドの外側に置いて「ヽ」のように斜めからホームポジションに置くようにするとタッチパッドへの誤接触はしにくくなると思います。
HPは右端をやめて
以上です。
自分はHPのノートPCのデザインが好きです。このEnvyのブラックの質感も大変気に入っていました。
また、スペック対比手頃な価格と、タッチパネルを多くの機種で標準搭載している点も魅力的だと思います。
その一方で、キーボードの変態配列のデメリットは目立ちます。
手が大きな米国のユーザーがこの設計(特にタッチパッドの位置)にどうして不満を爆発させないのか不思議でなりません。


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